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X線のそれは、コンピュータが現代社会にもたらした影響になぞらえることができるだろう。
身体を初めて可視化したその技術は、医療のありようを根底から変えた。
医師は人体を外科的に切り開かなくても、その内部に分け入って探査できるようになった。
しかも、X線写真は持ち歩いて大勢でみられるので、みえたものについて議論したり、評価できるようにもなった。
もちろん、患者が自身のからだの透視図をみるのにも役立っている。
かのトマス・エジソンも、レントゲンの発明物語からわずか1年後の1896年に、生きている人間の脳を写真に撮ろうと試みた。
しかし、発明王の実験は失敗に終わる。
当時の陰極線管が生む光線は弱すぎて、厚い頭蓋骨を透過しなかったのである。
それから100年。
私たちは、X線のみならず、さまざまな「物質化した眼」を手に入れ、まるで透明な魚をみるように、人体を透かしみることができるようになった。
医学の歴史は、人体を可視化し、治療につなげる歴史ともいえるだろう。
第1次世界大戦では、発明されたばかりのX線が体内に残る銃弾をみつけだし、多くの兵士を死の淵から救った。
続いて、母親のおなかにいる胎児を鮮やかに映しだす超音波、患者のからだをあらゆる角度から輪切りにするようにX線撮影するコンピュータ断層撮影法(CT)、らせん状に連続撮影するヘリカルCT、電磁波エネルギーを利用する磁気共鳴画像撮影法(MRI)と、次々に新しい画像診断技術が開発された。
CTは骨とやわらかい組織との識別が得意だが、MRIは組織内の鑑別がしやすい。
また、Xインテリジェント手術室の戦略地図線、CTには放射線被曝がわずかながらあるが、MRIにはそのおそれがないので、何度でもくりかえし撮影できる。
血流の流れを立体的に画像化した磁気共鳴血管造影法(MRA)は、脳ドックで使われている。
さらに、脳の血流量を測るシングルフォトン断層撮影法(SPECT)や代謝がわかる陽電子放射断層撮影法(PET)、活性化している場所がわかる機能的MRI解析といった最新技術まである。
PETは、臓器や組織の機能を映す生化学的診断ができるので、全身のどこにがんがあるかが早期の段階からわかると注目されている。
こうした新しい画像診断技術は、すべてコンピュータの発達に支えられている。
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